電池用アルミ箔の市場規模は巨大。多くの企業が殺到
1月11日、「東陽光」は湖北省宜都市に年産10万トンの低炭素ハイエンド電池用アルミ箔プロジェクトの建設に投資する予定で、総投資額は最大27.1億元を見込んでいると発表した。一方で、同社はこのプロジェクトを担う会社として、宜都市に100%の完全子会社を設立する。
本プロジェクトの全工期は36ヶ月で、2期に分けられる。第1期、第2期ともに、それぞれ年間5万トンづつの低炭素ハイエンド電池用アルミ箔プロジェクトで、そのうち第1期は2023年、第2期は2025年の操業開始を予定している。
この投資は、国家産業発展計画と当社の新エネルギー戦略に沿った開発計画である。このプロジェクトにより、同社の電池用アルミ箔の生産規模がさらに拡大し、市場の発展を追い風に、長期にわたる競争力の保持と持続的な収益性を得るであろう。
昨年11月29日、「東陽光」は投資額60億元の低炭素ハイエンド電池用アルミ箔プロジェクトの建設を宜都に決定した。このプロジェクトは、敷地面積1,200ムー(1ムーは約666.7平方メートル)、年間生産量20万トンの低炭素ハイエンド電池用アルミ箔プロジェクトで、生産額80億元、税収5億元が見込まれている。このプロジェクトが稼働し出せば、中国で最大規模かつ最高の技術レベルの低炭素ハイエンド電池用アルミ箔の生産基地が生まれることとなる。
電池用アルミ箔は、リチウムイオン電池の集電体として使用される。通常、リチウムイオン二次電池業界では、正極集電体として圧延アルミ箔を使用している。最近の研究では、リチウムイオン二次電池の正極集電体として使用されているアルミ(Al)合金箔の表面を粗面化することで、電池の充放電特性が大幅に改善されることがわかりった。これは、ハイブリッド自動車や電気自動車用の二次電池、風力発電や太陽光発電の電力貯蔵用二次電池の開発に重要な役割を担う。
充電式電池や蓄電池の急速な発展に伴い、リチウム電池向けのアルミ箔の需要は大きく伸びている。統計によると、2020年の世界のリチウム電池向けアルミ箔の出荷量は前年比23.4%増の約9.7万トン、2021年には世界のリチウム電池向けアルミ箔の出荷量は12万トンに達すると予想されている。
「中泰証券」は、2021年から2025年の世界の電池生産量はそれぞれ426、603、790、997、1270GWhになると予想しており、1GWhあたり400トンのアルミ箔が必要であるという前提に立てば、電池用アルミ箔の需要は2025年には50.8万トンに達し、毎年前年比30%以上の成長率に育つと見込んでいる。
このとてつもない可能性をはらんだ市場予想に触発され、多くの企業がマーケットに殺到した。
「鼎勝新材」は、2021年12月19日、同社とその完全子会社である「五星鋁業」が「寧徳時代(CATL)」と合作協議を締結したことを明らかにした。この協議によると、2021年11月1日から2025年12月31日までの期間に、同社とその子会社である「五星鋁業」は、「寧徳時代(CATL)」に電池用アルミ箔を総計51.2万トン以上の供給を契約したものである。
「嘉元科技」は、2021年12月28日、約11億元を投資して建設した年産15,000トンの高性能銅箔プロジェクトが順調に生産を開始した。このプロジェクトでは、主に4.5μmと6μmの高性能銅箔構造を持つハイエンドのリチウム銅箔を生産している。それによると、このプロジェクトの第二期分の1万6千トンは、今年末までに徐々に生産を増やし、2023年にはフル生産の予定である。
同日、「常鋁股份」は、同社の100%子会社である「常鋁科技」が3万トンのパワーバッテリーアルミ箔プロジェクトに3億5千万元を投資し、総工期を24ヶ月にする予定である。「常鋁股份」では、今後3年間はパワーバッテリーアルミ箔の供給逼迫が続き、特に高品質の電力用電池箔の供給が厳しいと予想している。
「万順新材」は、2022年1月7日、A株の非公開発行を行った。使途は、年間生産量10万トンのパワーバッテリーとエナジーバッテリー用のアルミ箔プロジェクトと運転資金の補填のため。17億元以下の資金調達を計画している。その中で特に注目されのは、年間生産量10万トンのパワーバッテリーとエナジーバッテリーの集電体用アルミ箔の安徽「中基電池箔科技有限会社」のプロジェクトである。
一方、「广西潮力新材料有限会社」は、1月8日、高精度の新エネルギー電池用アルミ箔を年間5万トン、アルミ合金精密部品を年間10万トン製造するプロジェクトの立ち上げ式を行った。このプロジェクトは、総投資額15億元、敷地面積100ムー(1ムーは約666.7平方メートル)、主に新エネルギー電池用アルミ箔などを生産する予定で、年間生産額50億元を見込んでいる。
「南山鋁業」は、同社が2017年から電池箔製品を一括供給していること、2019年に着工した2万1,000トンの高性能パワー電池箔専用生産ラインが2021年10月に稼働したことを明らかにした。本プロジェクトが生産を開始すると、同社の高性能パワーバッテリーアルミ箔製品の年間総生産量は30,000トン以上に達す。
リチウム電池用アルミ箔は工場建設からフル生産に至るまで長い期間が必要で、通例3~5年を要する。また、生産効率や歩留まり率、加工費の上昇などのマイナス要因が、電池用アルミ箔事業に影響を与える。
今後リチウム電池向けのアルミ箔の製品動向としては、ますます薄型化が進む一方で、強度面での要求が高まってくるであろう。
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