新エネルギー車製造ブームに先乗りできたアルミ製品メーカーたち
脱炭素政策の追い風を受け新エネルギー車への注目度が高まっているが、電池向けアルミ箔、アルミ合金材部品、アルミ車体など自動車関連製品へのアルミ需要が急増している。このブームに乗るために2021年下半期にはアルミメーカーが続々と、アルミ合金材軽量化製品へ業容を拡大した。
中国工業情報化部の調査によると、2021年中国における新エネルギー車の生産・販売台数はともに350万台を超え、前年比では1.6倍の増加となった。中国自動車工業協会は、2022年中国の新エネルギー車の生産・販売台数は前年比42%アップの500万台に到達し、市場シェアは18%超に達すると見込んでいる。ワールド・アルミニウム・ネットワークの統計によれば、アルミ関連事業の各社が公式発表した自動車向け軽量化製品関連事業および投資は下記の通りである:
2022年2月11日に「華峰鋁業」の公告では年間生産量15万トンの新エネルギー車用アルミ板・アルミストリップ・アルミ箔製造プロジェクトを立ち上げる予定で、投資総額は19.8億元。そのうち第三者割当増資は最大10億元である。その内容は2,400mmの4スタンド式熱間仕上圧延機、高速冷間圧延機、高速アルミ箔圧延機などの加工設備を導入する。継続的な収益力の高上が期待される。
2022年2月10日付け、「愛柯迪」の公告では、安徽省含山経済開発区に新エネルギー車の電力駆動システム・電池システム及び電気制御システム(下記「三電システム」と称する)と自動車構成部品のスマート製造事業を段階的に立ち上げる予定であるという。この事業ではアルミ合金の生産と金型の設計・製造、スマート設備の設計・製造などのために、フルオートダイキャストユニット、加工組立ユニットなど設備および生産ラインを新規に立ち上げていく。
2022年2月8日の「立中集団」の公告:当日同社の完全子会社である「立中ホイール」は黄石大冶湖高新技術産業開発区の管理委員会と共に「大冶自動車ホイール製造拠点プロジェクト投資契約書」に調印した。このプロジェクトの投資総額は6億元で、2期に分けて実施される。第1期では、湖北大冶「遠際ホイール」の既存のラインを増強し、生産能力を120万本/年にまで引き上げる。
第2期は、既存の遊休工場内に新規購入した設備を設置し、年産150万本のホイール生産ラインを建設する。
2022年1月8日、「広西潮力新材料」は高精度の新エネルギー電池用アルミ箔(5万トン)とアルミ合金精密部品(10万トン/年)の事業を開始した。同プロジェクトは、総投資額15億元で敷地面積100ムー(1ムーは約666.7平方メートル)、年間生産高は50億元を見込む。主な製品として新エネルギー電池用アルミ箔、エアコン用アルミ箔、シングルゼロアルミ箔、ダブルゼロアルミ箔、アルミストリップなどが予定されている。
2022年1月7日付け「万順新材料」の公告では、動力電池用アルミ箔と電力貯蔵用電池用アルミ箔製造ライン(併せて10万トン)の立ち上げと運転資金補充のために、第三者割当増資で総額最大17億元の資金を調達する。同社はすでに、電池用アルミ箔の供給能力増強のため、安徽省の工場に年間生産能力7.2万トンの高純度電解コンデンサー用アルミ箔の製造ライン、四川省に年間生産能力13万トンの高純度アルミストリップへの投資、および現在開発中の「有機ビヒクルフィルムの両面銅箔メッキ工程」など、複数の新規事業を立ちあげていた。
2022年1月4日、「神火集団」は河南省商丘市で年産能力6万トンの新エネルギー動力電池用材料の工場建設に着工した。当プロジェクトの総建築面積は約45,000㎡で、主に1060番、1070番、1235番などのアルミ合金と、O、H14、H18調質で厚さ9~50μmのラミネート型(パウチ型)電池用アルミ箔を生産する。年産6万トンを見込む。製品は新エネルギーリチウム電池の陽極材や電力貯蔵用ナトリウムイオン電池向けの陽極材、負極材などに幅広いラインアップ。当プロジェクトの総投資額は12億元、工期は30ヶ月を予定している。
2021年12月29日付け「瑞鵠金型」の公告によると、同社は「蕪湖奇瑞科技」、「蕪湖永達科技」と新エネルギー車軽量化部品の新規事業に共同投資する。同事業は安徽省蕪湖経済技術開発区で工場が建設される。主な事業内容は新エネルギー車向けの精密ダイカストアルミ合金部品の開発、設計及びその製造。最大生産能力は、年間50万セットを見込んでいる。
2021年12月22日、「広東鴻勁」は新エネルギー車用のアルミ合金材製造工場を咸安に建設することを決定した。当プロジェクトは総投資額は4億元、敷地面積は100ムー(1ムーは約666.7平方メートル)。主な事業内容は再生アルミ合金原材料の前処理と溶融加工である。操業開始後の年間生産高は8億元、年間納税額は4,000万元以上を見込んでいる。
2021年12月10日、「亜太科技」は無錫国家高新技術産業開発区管理委員会と、新エネルギー車軽量化用アルミ材部品製造事業投資契約の締結を発表した。資契約無錫高新区D23-1区画に新しい土地、工場および設備を備える。総投資額は58,000万元で、工期は5年。新エネルギー車用高強度アルミ材システムコンポーネントの年間生産能力は約200万台を計画している。
2021年11月15日「福然徳」は、新エネルギー車用のアルミパネル事業に投資するため最大6.5億の資金を調達すると発表した。資金はパネル製造工場の建設とアルミダイカスト工場、および運営資金補充に使われる。ダイカスト事業の総投資額は3億元で調達する資金からは約2億元を充てる。 生産開始後の平均年間売上高は8億元、年間純利益は8千万元、税引後内部収益率は14%、税引き後の投資回収期間は5年半を見込んでいる。
2021年11月2日、「莱克電気」は「上海PGI」を買収すると発表した。同日株式購入契約を締結した。買収額は12億1600万元である。 同社は2021年1月に「莱克新エネルギー科技有限会社」を設立し、新エネルギー車と5G通信機器の製造と、工業自動化産業が関係する重要部品を製造するための標準化工場及び関連施設の建設とに合計13.5億元を投じた。
2021年11月2日、「安徽熠輝新材料」の新エネルギー車主要部品製造工場の建設工事が着工した。年産8000トン。金安経済開発区に、総額5.3億元を投資する。「建設しながら生産する」方式を採用して、2022年3月に操業開始、2023年10月に竣工となる予定である。 全プロジェクトが建設を終了した後の年間生産能力は、アルミ合金スクロールが4,000トン、アルミブッシングは1,000トン、アルミエンドキャップは2,000トン、及びアルミポンプボディの1,000トンを見込む。
2021年9月23日の「長華股份」の発表によると、同社の投資総額が7.6億元に確定したのを受けて中国証券監督管理委員会に承認された。以前同社が発表した計画では、総額最大7.6億元を調達する予定で、主に年間生産量20億個の高強度ファスナー生産ラインの建設(フェーズI)、自動車用溶接部品製造拠点(広清工業団地)の建設(フェーズI))、および自動車用軽量化アルミ部品スマート製造拠点の設置、などに投資される。
2021年9月1日、「国軒控股集団」は、安徽淮北高新技術産業開発区と高新区に新エネルギー工場を建設する契約を締結したことを発表した。ここではアルミ製品を生産する。
2021年7月15日、「凌雲股份」は非公開発行株式計画で総額が最大13.8億元の資金調達を開示した。資金は、塩城新エネルギー車部品工場、武漢新エネルギー車部品工場、涿州新エネルギー車部品工場、「淩雲吉恩斯」の49.90%の株式の取得とそれらの工場の拡張計画、瀋陽保険レバー組立プロジェクトと運営資金補充等、6件の使途に分かれている。「凌雲股份」は主に自動車部品の製造・販売、プラスチック配管システムの製造・販売を行っている。更に海外市場において、凌雲株式はBMW、メルセデスベンツ、アウディ、トヨタ等グローバル企業とも戦略的な協力関係を築いている。
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