人気高まるオールアルミボディ車 そのメリットは?
数年前からすでに、アルミボディは車づくりの最高基準となっていた。当時中国で初めてオールアルミボディを採用したBMWブリリアンス5シリーズも業界で好評を博していた。では、オールアルミボディ車にはどのような長所があるのだろうか。軽量化のほか、まだ一般的に認知されていないメリットを次に紹介する。
1.ボディの軽量化ができること
まず、アルミ合金の最大の長所はその軽量さにある。アルミの比重は2.7g/cm3で鉄は7.8g/cm3、アルミは鉄の1/3程しかない。そのためにアルミは広く使われている。
もちろん、これは車両の軽量化にとってきわめて有利である。何よりもまず運転性能が向上する。一般に知られているように、車は軽いほど慣性力が小さく、発進・加速・減速・コーナリングのいずれの場合も走行性能が上がり、操縦しやすくなる。
また、燃費も向上する。海外の研究によれば、車両重量が100㎏減るごとに、燃料の消費量を0.3~0.6L/100km 減少することができる。
更に、オールアルミボディ車は重心を下げられることで前後の重量配分を最適化することができる。
アルミ合金製のサスペンションとコントロールアームにますます人気が高まっている。通常のスチール製に比べて、ハンドリングが改善され、軽快な操縦性を得ることができる。同時に、揺れを吸収して乗り心地を向上させている。
2.ボディの剛性を強化できること
一般的に、アルミの強度はスチールに及ばないと考えられているが、実際、様々な方法で加工されたアルミ合金は種類によって強度が異なるのである。ボディの違う部分に強度の違うスチールを組み合わせることで、オールアルミボディでも安全基準が要求する強度を実現することができる。
多くのメーカーは高張力鋼を接合部に採用しており、それによって多少重量が増えるが、強度はオールアルミボディより一段と上がる。つまり、アルミ合金と高張力鋼の採用個所については適切な範囲があり、その範囲内であれば重量を軽減しつつ強度を最大化することができる。
3.衝撃エネルギーの吸収性に優れていること
アルミ合金材は高張力鋼ほど強度は強くないものの展延性に優れているため、塑性変形することで衝撃エネルギーを吸収することができる。よく知られているように、車にとってもちろん強度は重要だが、衝突時に効果的に塑性変形することで衝撃エネルギーを吸収し、その結果搭乗者を守ることができる。そのため、通常フロントバンパーとリアバンパーのクラッシュボックスには低強度のアルミ合金が採用されていて、自身が潰れることでもっと効率的に衝撃エネルギーを吸収させるのである。それでもボディには十分な強度が必要で、特に衝突時に発生した衝撃エネルギーがコックピットに伝わったためにコックピットが潰れることのないよう、縦ビームとAピラー部分はそれを遮断する必要があるため、熱間プレス成形された高張力鋼板が採用されている。
4.耐食性を向上できること
自動車は経年劣化により腐食するため、通常ボディを組み立てる前に防錆処理を施す。しかし、これらの対策は錆の進行を遅らせることができても、完全に防ぐことはできない。特に積雪した地面に撒かれる融雪剤の多くは塩素を含むので車の下部にダメージを与え、徐々に鋼板はその強度を保てなくなる。いっぽう、アルミ合金板の場合は鋼板とは違って、気中の酸素と反応して酸化アルミニウム薄膜を形成するため、外部との化学反応を抑制しさび止め効果を有する。そのため、鋼板よりアルミ合金材板のほうが耐食性に優れている。最近多くのメーカーは車を出荷する前にある程度シャーシに防腐・防錆処理が施す。もちろんそれらの対策は車種によって異るが、一般的には高級車ほど行き届いている。
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