銅価格の高騰で空調メーカーは代替え検討
3月以降、複数の大手空調メーカーが出荷価格を引き上げ新たな値上げラッシュが始まった。
空調の主原材料である銅は今回の値上がりの主要因となっている。空調製造コストに占める銅の割合は17%で、2020年6月から今日までの銅価格の上げ幅は80%であるため、単純計算でコストは略14%の上昇である。 (20~25%の意味が分かりません。一応単純計算で14%としています)
銅・アルミの値上がりによる空調製造コストの上昇:
2020年6月に銅・アルミが値上げの周期に入ってからすでに18ヶ月経過した。2020年6月以降、「ハイアール」、「美的」、「グリー」、「オックス」などの家電メーカーは相次いで空調の出荷価格を引き上げ、上げ幅は3~10%、1台あたり100~500元ほどである。
産業オンライン社空調研究チームの担当者が「中国電子新聞」の取材に以下のように述べた。今まで銅・アルミの値上がり周期は3回現れたこが、一番最近のものは2016年に始まっていた。今回の周期で期間は今まででもっとも長く、18ヶ月に及んでいる。今回の上げ相場の主な要因は、新型コロナの拡散、国際貿易摩擦、国際輸送の混乱などが挙げられる。銅とアルミの値上げ幅はともに80%を超え、特にアルミは103%に達し、過去最高を記録した。
銅やアルミの値上がりと空調の出荷価格との関係を調査してみた。空調機器の中核部品はコンプレッサー・熱交換器(蒸発器と凝縮器)・モーター等があり、熱交換器の主原材料は銅とアルミである。コストベースで計算すれば、空調の製造コストを占める割合がもっとも大きいのは銅とコンプレッサーである。
家電製品中に占める銅の割合は製品によって異なるが、一般的に空調の場合は約20%前後である。GfK大型家電事業部ゼネラル・マネージャーの彭顕東氏が「中国電子新聞」のインタビューで、銅価格の上昇に伴って間接的に上昇したコストもあり、最新価格で計算した銅の空調製造コストを占める割合は20~25%に達していると語った。
ファウンダ・セキュリティーズの調査報告書によれば、通常、空調メーカーが熱交換機や板金パネルなどの部品を調達する際、品質・コスト管理の観点から「原材料スポット価格+加工費」というモデルで部品メーカーと取引し、原材料価格の変動を空調メーカー側が負担することになっている。
そのために、銅の値段が上がった場合、空調メーカーは製品の出荷価格を引き上げて対応する。
市場への影響と企業の摸索:
彭顕東氏は、すでに2020年第4四半期から空調・冷蔵庫・洗濯機等は値上げはじめていたが、空調の場合銅・アルミがコストに占める割合が一段と高いため、より顕著に表れている。しかし、実際原材料高騰の影響は様々な家電製品に広がっていた。
3月に「ハイアール」、「美的」、「グリー」などのメーカーが再び空調の出荷価格を引き上げれば、空調の業界平均価格は更に上昇するだろう、と業界の専門家が予想している。主原材料の価格高騰で、空調が高付加価値製品に傾くなど、市場動向にも大きな影響を及ぼしている。彭顕東氏の話によると、多くのメーカーは収益と製品計画を検討し直している。つまり、原材料の価格上昇は高機能空調のシェアアップにつながる、と彼は判断している。
中国電子情報産業発展研究院(CCID)が発表した「2021中国家電マーケートレポート」のデータも、この傾向を裏付けている。2021年、北京・上海・広州などの大都市では、2万元を超える空調の売上高は前期比58%増加した。その中でも、換気付きや高効率などの機能を持つ新機種の売上の占める割合は大幅に上昇した。GfKのデータによると、2021年高効率型空調は人気商品となり、店頭およびネットでの販売台数はそれぞれ全体の59%と70%を占めていた。換気機能付き空調の売上は67%増加した。
原材料価格の高騰は商品開発にも影響を及ぼしている。産業オンライン社空調研究チームの調査によると、コスト上昇に対応し、産業チェーンの安定性を高めるために、空調業界は積極的にアルミに代替えする研究に取り組んでいる。4月15日の銅相場は7.5万元/㌧であるのに対してアルミ相場は2.1万元/㌧であることから、アルミはより強い価格競争力を持つことが分かる。アルミ材に切り替えた空調製品の規模が拡大し続けている。窓用タイプの一部はすでにアルミへの切り替えが完了し、床置きタイプも切り替えを実現するための技術開発を急いでいる。その他、銅管の細径化と薄肉化による軽量化も技術開発のトレンドとなっている。
欧米における流動性引き締めと原材料需給に落ち着きが取り戻されるにつれ、銅・アルミ相場が空調を含む家電製品への影響が徐々に弱まり、その期間はそれほど長くは続かない、と同チームが予測している。
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