アルミニウム価格の変動が最終製品に与える影響

現在、上海金属取引所のアルミ先物価格は約20,000元/トンを挟んだ動きとなっている。10月18日に上海のアルミ先渡し価格は24,765元/トンの歴史的な高値をつけた後、一気に下落し、わずか1ヶ月で20%以上の下落を記録した。そこでアルミを消費する企業は、大規模な価格変動のリスクを負っている。今後のコロナ禍の推移、世界の金融政策やその他の要因次第では、アルミ価格はまだ変動の可能性は高い。アルミ関連企業は、確固たるリスク管理が求められている。

10月以降、アルミニウム価格は大きく変動しており、ロンドン金属取引所と上海金属取引所のアルミ先渡し価格は、それぞれ10月中旬に13年ぶりの高値と史上最高値を記録した後、急激に下落した。

初期のアルミニウム価格急騰の主な原因は、供給が逼迫し、アルミニウムの一日あたりの平均生産量が減少し続け、世界的なエネルギー価格の上昇、電気代の高騰と相まっているためである。

アルミの製錬には莫大な電力を必要とする。1トンのアルミニウムを生産するのに消費する電力は13,500KWH。これを石炭換算すると電力用石炭5,500キロカロリーに相当し、1トンのアルミニウムに約5.5トンの石炭を必要とする。これまでは石炭価格の上昇が電解アルミの価格を大きく押し上げていた。

石炭価格が100元/トン上昇するごとに、電気代が550元/トン上昇する計算である。一方、電力用石炭5500キロカロリークローズアウト価格は、9月初旬の1127.5元/トンから急激に上昇し始め、国慶節後の2592元/トンの高値で頂点に達し、自前の発電所を持つ電解アルミ企業の電気代は8000元/トン以上も急激に上昇している。また、国営発電の電力を利用している企業のコストも3000元~6000元/トンと大幅に上昇し、その他のコストであるアルミナ、プレベークアノードなども石炭価格の高騰の影響を受けて急激に上昇した。

国内の電力が緩和されたことにより、電解アルミ価格は高値から後退した。電解アルミニウムの平均日産量が回復し、国内発展改革委員会による電力炭供給の規制で電力コストの低下、及び米連邦準備制度理事会による流動性引き締めのシグナルと重なり、アルミニウム価格が急後退した。また、国内の川下企業が最終消費者へのコスト転嫁が困難になっていることも、アルミニウム価格がさらに引き下げられる要因となっている。

「中間企業は主に加工料金を稼ぐことを目的としており、基本的には先渡し価格であるため、アルミ価格の変動による影響は少ない」としている。アルミ価格のいわゆる「ジェットコースター」すなわち激しい上下の価格の振れは、末端企業に大きな影響を与えるという。

アルミ価格が高騰した9月、10月は、川下需要が明らかに減少しており、一部の企業はアルミ価格が下がるのを待って材料を手当てすることができる。とはいえ、一部の企業では、末端企業の厳しい納期要求があるために、高い材料を買わざるを得ないこともあり、損失や欠品を余儀なくされることがある。

中国のアルミ加工産業の集約度は低く、2020年の生産能力の上位6社のアルミ加工製品の年間生産量は、全国の総生産量の5%以下であることが分かっている。大規模な加工企業の集約度は比較的高くなく、その結果、企業の交渉力は強くない。全体として、アルミニウム加工企業は価格交渉の受動的な受け手であり、加工企業のタイムリーなヘッジの必要性が強まっている。

今年の第1四半期から第3四半期にかけて、アルミニウム価格が急激に上昇したため、ほとんどの中小企業は利益が減少し、あるいは赤字に見舞われた。第4四半期のアルミニウム価格が急激に下落したが、総じて加工企業は収益性が改善されている。コロナ禍にあって、金融政策などの要因により、アルミニウム価格はまだ大きな変動のリスクを孕んでいる。そこで価格変動リスクを回避する目的で、川下企業は価格の先渡しヘッジ、オプション取引などをタイムリーにすることをお勧めする。

現在のアルミ価格が下がっているが、原材料を高価格で調達した企業は、効果的なヘッジしていない場合、減価償却をもろにコストとしてかぶるので利益が減少してしまうリスクを負っている。企業にとっては、トレンドに沿って行くことで適切なリスクヘッジが可能となるのである。

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