アルミ相場は中期的に高値維持

昨年12月中旬以降、上海アルミ相場はアップダウンはありながらも、年明け18,000元/トンから22,000元/トンまで上昇した。相場が強いのは、低い在庫レベルと海外のエネルギー危機とそれから、財政出動、供給の回復遅れ懸念による。短期的には、春節前の弱い消費力、アルミの在庫取り崩し、当局による価格抑制、高値の後の揺り戻しなどで弱含みである。春節後の財政出動、供給の回復に遅れがあれば、アルミ価格のファンダメンタルズは強くなり、上昇の余地ありと予想する。

複数の要因が共鳴しアルミ価格は上昇傾向：

2021年第4四半期は、欧州のエネルギー危機到来で、中でも10月からは欧州の亜鉛製錬企業が減産を発表、それに伴い亜鉛価格は上昇した。アルミもエネルギーの多消費量非鉄品種として、減産に入った。フランス、ドイツ、スペイン、ルーマニアなどのアルミ製錬企業が相次いで減産や生産停止を発表し、合計80万トン以上の減産に陥った。価格上昇の主因はアルミの供給制限と低い在庫水準である。米国のインフレは年明け後も引き続き亢進しているものの、パウエル議長の講演はハト派を示唆しており、市場では短期的に連邦準備理事会（FRB）がよりタカ派的な表現をすることは難しいと予想している。そこでドル指数は下降し、金属全体の価格は上昇傾向にある。また、乗用車連盟が今年の新エネルギー車の予想生産・販売台数を大幅に引き上げた。販売台数は480万台から550万台に見直され、新エネルギー車の普及率は25％に達すると予想している。市場が楽観的な予想をしていることと相まって、一般的な需要と新エネルギーの需要が共に促進され、1月のアルミ価格はさらに上昇した。

春節前の価格変動は可能性が高い：

上海アルミ相場は22,000元/トンまで駆け上った後、小さな下げを打った。我々は春節前に高値に戻す可能性は低いとみている。

春節の前後は工業製品の消費意欲は低い。川下である加工業が休日に入ると、電解アルミの在庫は徐々に増加していく。アルミビレットの在庫は2週間連続で増加しており、インゴット在庫の減少傾向はそろそろ転換点を迎える。また、昨年12月以降、国内のアルミ製錬は生産を再開し始めている。雲南地区では11月末時点で50万トンに近い生産を再開してた。短期的には相場の上昇余地は限定的であろう。

中期的には高値の見通し：

第1四半期は、アルミ価格について高値を予想している。欧州は冬に入りガスの需要はピークを迎えた。フランス、ドイツなど、電気料金の大幅な上昇を懸念している。海外の電解アルミの製錬能力は、短期的に回復することは困難であり、減産のリスクは拡大し続けている。一方、中国国内需要は引き好調の見通しである。先週、国家電力は「第14次5カ年計画」の期間内では、「東西24本南北14本」の超高圧プロジェクトを発表した。高圧電線は3万キロ以上に及ぶ。総投資額は3800億元で、「第13次5カ年計画」の総投資額1700億元をはるかに上回る。インフラ投資の方針のもと春節の後のアルミニウム消費量は増加するだろう。国内の電解アルミ製錬は引き続き増加していくが、西南地域は渇水期に入り、北部地域は冬季オリンピック開催による環境保全の制約を受ける。第1四半期の生産の回復は比較的遅いであろう。このため、アルミは需給のアンバランスに陥ることが予想される。春節後のアルミ相場はまだ上昇の勢いが残るであろう。しかし、第2四半期後半には、米国連邦政府の「Taper」が終了し、利上げに対する期待、海外の株式市場や商品市場は高いボラティリティに直面するであろう。アルミ相場は価格変動のリスクにさらされることに注意する必要がある。

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