供給の混乱は依然として台風の目、当面アルミ価格は高値圏を推移

概要:

天然ガス価格の高騰が電気料金を押し上げ、アルミ製錬工場は相次いで減産もしくは操業停止に追い込まれている。特に現在ロシアとウクライナの戦争により、世界のエネルギー危機を巻き起こした攪乱要素は短期的には解消しがたい。一方中国国内では、広西省百色市はアルミナとアルミ製錬の重要産地であるが、新型コロナウィルスの感染症拡大を受け、製錬所はシャットダウンに入った。当面アルミ価格は高止まりの見通しである。

緩和的な金融政策の下で、需要サイドは緩やかに回復:

中国のPPIは前年比9.1%上昇し、昨年12月の前年同月比の10.3%を下回ったが、CPIの伸びは0.9%に減速した。その結果インフレは1月に緩和された。中央銀行が金利を引き下げ金融システムに流動性を注入、ここ数カ月間にわたりインフレを抑えてきた。これまでの緩和策が効を奏し1月の一般融資額は爆発的に増加した。

海外のエネルギー危機はますます悪化へ:

ロシア・ウクライナ情勢は緊迫の一途をたどり、エネルギー価格の高騰受け、アルミ相場が高止まりしている。欧州のエネルギー問題には未だに有効的な解決策は見つかっていない。1月30日現在、欧州にある地下貯蔵施設の天然ガス在庫は前年同期比27.2%(すなわち142億m³)減少した。2月18日現在、英国の天然ガス先物価格は179.67ペンス/サムで引け、前年同期比約4倍。欧州の電力価格は前年同期比3倍前後となった。電気料金の高騰によって、冶金など高エネルギー消費産業の生産コストが大幅に上昇し、昨年12月の単月、西ヨーロッパは約87.5万トンのアルミを減産した。これは西ヨーロッパ総生産能力の約17.5%相当で、LMEアルミ価格の高騰理由の一つである。

電解アルミの輸入窓口は閉鎖され、中国内の移送は制限されている:

広西省は主要アルミ生産地の一つであるが、製錬所は百色市に集中し、同省の生産量の約80%を占めている。しかし、新型コロナウィルス拡大の影響で、百色市は2月7日から交通規制を実施。省外との交通が遮断されている。そのため原料の調達ができず、かつ作業員らの職場復帰ができていない。その結果一部のアルミ製錬工場は稼働率を下げている。今後の減産量は徐々に拡大する可能性がある。そのの影響は、アルミナが120万トン、電解アルミが42万トンの減産を余儀なくされていた。現在では、感染拡大が抑制できたとして、大方の製錬工場は原料・製品の搬入・搬出を再開している。しかしダブルカーボン政策やコロナ拡大などの規制からアルミの供給タイトはまだ続く見通しである。

川下産業が徐々に成長力を増し、アルミニウム需要量は継続して増加:

産業チェーンの観点から、電解アルミは主に川下の建築・不動産、交通運輸、電力業等の業界で使用され、その量を合算すると需要量全体の63%を占める。国内安定成長政策のもと、伝統的な建築界の需要は回復すると予想される。建築・不動産分野について、引き続き新型コロナウィルス感染症の影響を受けたものの、2021年全国の住宅完成面積は一年を通して前年比10%超で推移していた。交通運輸分野については、中国汽車工業協会は、2021年の新エネルギー車の販売台数は52.1万台に達し、前年同期比157.5%増と発表した。電力業界について、「第14次5カ年計画」で、UHVプロジェクト「24交14直」の建設を計画しており、投資総額が3800億元で、過去2回の5カ年計画を大きく上回っている。電力、交通などの需要から、2021年電解アルミの消費量は3,988.7万トンに達し、前年同期比5.2%増となった。また、新エネルギー車、太陽光発電などの新興分野では好調さが続くと予想され、アルミニウム需要は高い成長を維持していくものと思われる。

まとめ:

国内では諸々の物資の供給に混乱が起きておりそのうえ、欧州のエネルギー状況が悪化し続けている。また国内の製錬工場の生産量は60%まで減少している。供給については、広西での新型コロナウィルス感染症の影響で、一部の製錬工場での操業停止と輸送障害により、国内の電解アルミの供給が逼迫している。春節明け、アルミ川下の加工企業が次々と生産を再開した。アルミ板や箔企業の需要は旺盛で、在庫の取り崩しは順調に進んでいる。また、川下にあたる建設・不動産、交通・輸送、電力等業界の継続的な発展は、いっそうアルミ消費量を増加させ、アルミ価格を押し上げることとなった。欧州のエネルギー危機を短期に解決することは難しいうえ、国内の電解アルミの生産量に限りがある。長期的には供給が抑制されるため、国内外の供給は逼迫し、電解アルミ価格は高値圏にとどまるだろう。消費のリバウンドにも目を配る必要がある。

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