2021年の電池用アルミ箔、出荷量大幅増

リチウムイオン電池用銅箔と同様に、アルミ箔は正極集電体の主要材料で、主な機能は活物質で発生した電流を効率よく出力することである。より性能の高いリチウム電池を得るために、集電体を活物質と完全に接触させ、同時に内部抵抗をできるかぎり低減する必要がある。アルミ箔は通電性に富み、柔軟で、製造技術が確立していて、生産コストが安価であるなど突出した特長を有しているため、リチウムイオン電池の正極集電体材として利用されるプライオリティが最も高い。現在、リチウム電池正極集電体に使用されているアルミ箔の厚さは9～20μmである。今後の集電体の技術革新は高導電性・高強度・高柔軟性及び薄型化が指向される。

2021年以降も新エネルギー車市場は引き続き活況を呈しており、販売台数は急拡大を続けている。中国自動車協会のデータによると、2021年度新エネルギー車の生産台数は前年比173.7％増の354.5万台となった。川下製品の価格上昇を受け、リチウム電池の需要が増加している。高工産業研究所（傘下の）リチウム電池研究所(GGII)の統計によると、2021年度中国パワーバッテリーの出荷量は前年度比182.5％増の226GWhであった。その主な理由は次の通りである：1）2021年中国経済が徐々に回復し、新エネルギー車産業は活況を呈し急成長を遂げた。国内の新エネルギー車生産台数は前年比160％増の350万台超となり、それに押されてパワーバッテリーの出荷量は前年比180％以上増加した。2）2021年欧州の新エネルギー車市場は成長を続け、年間販売台数は227万台に達した。それが原因で一部の中国大手バッテリーメーカーは輸出規模が拡大し、電池用アルミ箔の需要増加につながった。

GGIIのデータによると、電池用アルミ箔の国内出荷量は2020年は6.1万㌧、2021年は13万㌧で、前年の2倍以上の伸びとなった。リチウム電池産業が示している顕著な上昇傾向に支えられて、アルミ箔の需要も引き続き増加すると予想されている。また、ナトリウムイオン電池の場合両極の集電体はともにアルミ箔を材料としているため、今後ナトリウムイオン電池の需要が伸びれば、アルミ箔業界の成長に新たな推進力がもたらされることになるだあろう。

現在、アルミ箔はカレンダー法を中心に作られ、主な製品には包装用アルミ箔、エアコン（室外機）アルミカバー、電気機械器具用アルミ箔、電池用アルミ箔等があって、中国の年間生産量は20万㌧ほどである。通期で見ると稼働率は高くないが、四半期ごとに需要が伸びているため、下半期はやや供給がタイトになっている。業界の高成長傾向を考えれば、更に生産能力を拡大していく必要がある。

電池用アルミ箔の価格は様々な要因に影響されている。1）原料であるアルミニウムの価格変動。2）高付加価値技術の使用（加工高）。厚さ9㎛/10㎛の電池用アルミ箔の製造に高度な技術が使用され、面積で換算したトン当たりのアルミ箔使用量はもっと大きく、価格は高くなっている。企業によってコスト管理力や技術力および品質、価格にもばらつきがみられる。2021年アルミ価格上昇の影響を受け、電池用アルミ箔の価格もある程度上がった。厚さ12㎛のアルミ箔のトン当たり単価を例にとってみると、2021年初頭は2.6～3.0万元、2021年末は4.0万元を超え、現在は4万元で概ね安定している。注目すべきは電池用アルミ箔の加工費は上がっていないということである。これはアルミ箔は様々な川下製品に広く応用されているが、その中で電池用アルミ箔の需要は大きな比重を占めておらず、他の分野にそれほど顕著な需要増がみられなかったためである。

業界を望むと、電池用アルミ箔市場の集中度は高い。シェア上位企業に「鼎勝新材」、「興恒鋁業」、「華北鋁業」、「南南鋁業」、「南山鋁業」、「永傑鋁業」などがある。

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