2023年度中国アルミ産業を取り巻く関連の重要課題について

①エネルギー危機で、アルミの需給バランス崩れる:

欧州はエネルギーの供給危機に見舞われ、エネルギー消費量の多い産業は減産を余儀なくされている。電解アルミについて言えば、欧州での製錬減産を受け、中国産アルミの需要が高まる。中国での重要な生産拠点である雲南省では、水不足による電力不足から、アルミの減産が進み、今年のアルミ需給はわずかながらタイト化した。欧州アルミの減産率が20%に拡大し、来年まで回復しなければ当面世界の需給は引き締まるであろう。

②電解アルミのフル生産にはエネルギーの制約が立ちはだかる:

中国の電解アルミ生産能力は4500万トンに達し、雲南省は山東省を抜き839万トンの生産能力を有する中国最大のアルミ生産省になった。比較的電気代が安価な水力発電に期待が集中するがその供給力にも限界があり、また水不足という季節的要因に見舞われることもある。一方甘粛省、広西チワン族自治区、内モンゴル自治区、貴州省などが今後生産力を伸ばしていくだろう。これらの省の優位性は、水力発電には水不足という季節的な減産要因を有し、その不足となった量の穴を埋めることにある。

③アルミの不動産向け消費量が減退している:

国内アルミ消費量の約1/4を占めるのが建築向け需要である。不動産市場の不調がアルミ価格の足を引っ張っている。アルミの先行国である米国との消費構成を比較すると、中国のアルミ消費量には依然伸長余地が多いことが予想される。太陽光発電、新エネ自動車、電池箔など新分野で高いペースの発展がみられる。今後も続く新たな産業分野での消費拡大は、不動産向け消費量の割合が弱含と予想される。

④再生アルミの優位性 低炭素・低エネルギーは業界から高い支持を受け続けると予想:

中国の電解アルミ産業は低炭素・低エネルギー化という制約下にある。それ故生産能力の拡大余力が限られている。またこの制約にかなった設備投資には遅れが見られるので、一次アルミの供給不足は今後も続くだろう。一方今後ますます需要の増すことが予想される太陽光発電と新エネ自動車向けに将来供給不足が生じると予想される。再生アルミの生産エネルギー消費量は新塊の5%未満であり、炭素排出量は新塊の2%に過ぎない。カーボンニュートラルの方針は、再生アルミ産業の発展を後押しし、再生アルミは将来一次アルミの供給不足を補う重要な手段になると予想される。短期的な電力不足が再生アルミの生産をすぐにでも押し上げることはない。中期的には電解アルミの世界的な供給量の減少がアルミ価格の再上昇に至る可能性は残されている。長期的には再生アルミ産業がカーボンニュートラル政策の追い風を受け、急速な発展が期待される。

⑤国内上場会社のアルミ製錬コストには大きな競争力がある:

石炭の消費優遇策により国内エネルギーは価格面で優位に立つ。国産電解アルミを世界の累積アルミコスト曲線の25~80%の範囲に位置づけることができる。

何社かの電解アルミ企業のコスト優位性は明らかであるが、その中でも新疆のコスト優位性が突出している。続いて雲南省の水力発電と山東省の自社所有の発電所が優位性を持つ。

⑥将来のリスク分析:

雲南省の水位は降雨の多い季節に入り回復、生産は予想より早期に再開された。FRBの金融引き締めがインフレ対策のため予想を上回る速さでレベルを上げ、欧米の景気を冷やした。このことがアルミ需要を抑制した面があることは否めない。金利政策は将来ともリスク分析の主要ファクターである。

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