自動車用アルミ板の技術動向
今やアルミは自動車産業にとって車体軽量化の重要な原材料と認識されいる。アルミ板の持つ成形性の容易さや生産性の高さは鋼板に近いため、鋼の代替として軽量化を担っている。
1.新エネルギー自動車向けアルミ合金板:
2021年1月から11月までの中国における新エネルギー車の販売台数は299万台に達し、前年同期比1.7倍にのぼった。一方、新エネルギー自動車産業の急速な発展は、電池、自動制御、新材料などの技術開発の上に立っている。現在、電池技術はまだ開発の余地を残しているが、軽量ボディの研究開発も更なる軽量化を目指すなど重要な研究課題は山積している。
アルミ合金材料は、比強度が大きく、耐食性に優れ、リサイクル率を高めらられるいという優位性がある。アルミ合金は、エンジンのシャシーシステムに使われるようになって100年になるが、ボディに使用されるアルミ合金の開発は遅れており、2010年以前では一部の高級車(Audi A8など)にしか採用されていなかった。今やテスラ社は、率先してオールアルミボディを採用し、カーボンクレジットの管理も効果的に行っている。また、テスラのスーパーファクトリーが上海で生産されたことで、国内の新エネルギー車産業が急速に発展し、「蔚来(NIO)」に代表される中国産オールアルミボディで纏った新エネルギー車の販売が耳目を引くようになっている。
2.自動車用アルミ合金板の供給状況:
当初、アルコア(Alcoa)、アルスイス(Alusuisse)、アルキャン(Alcan)といった大手アルミ企業は、レイランド(Leyland)、フォード(Ford)、ジャガー・ランドローバー(Jaguar Land Rover)などの自動車メーカーと協力し、カスタマイズしたアルミ合金製自動車パネルを開発し、これを独占的に供給していた。
自動車アルミ板材の標準化に伴って、過去10年間に中国ではアルミ製自動車生産ラインへの投資もあり、徐々に量産が実現してきている。
代表的なメーカーは南山アルミ、南南アルミ、中鋁瑞閩、忠旺グループなど。2020年の総生産能力は約40万トンにのぼり、2022年には新たに12万トンを増産する計画である。現在、国内外の自動車用アルミ合金生産能力は着実に拡大しているが供給量は需要量に追いついていない状況である。
3.自動車用アルミ合金板の生産技術:
6000系自動車用アルミ合金には、6016、6014、6022などの等級があり、主に車体外装材に使用されている。自動車用アルミ合金板には、総合性能、表面品質、安定性などの高い品質が必要である。現在、主流となっている自動車用アルミ合金板の製造には、溶解、鋳造、均熱、機械加工、熱延、冷延、連続熱処理工程など複雑で高度な生産技術が必要である。
4.低炭素自動車用アルミ合金板:
2021年5月、生態環境部は、炭素排出権の登録、取引、決済に関する一連の試行管理規則を発布した。自動車産業はまだ直接的に炭素取引の対象にはなっていないものの、将来には密接な関係が予想される。
また、アルミ産業における炭素排出量の最大工程は、アルミナ精製と一次アルミの電解時であり、それぞれ総排出量の約9%と88%を占めている。
したがって、低炭素アルミ電解を目指すには、再生可能エネルギーの使用、エネルギー消費を抑えるための省エネ設備への投資、及び再生アルミの利用拡大に取り込むべきだろう。
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