中国のアルミ輸出急増

欧米諸国はアルミの供給不足に陥っているが、一方余剰感のある中国からの輸出量が急増している。今年2月の輸出は2万6千㌧で単月としては2010年以来の最高値を記録、2019年11月以降初めてアルミの純輸出国となった。

中国の貿易パターンに変化がみられている。2020~2021年にかけて、アルミニウムの国内生産量は需要に追いつかず輸入国であった。現在LMEのアルミ相場と現物プレミアムの高騰が続いており、裁定取引の結果輸出国に転じた。

欧米ではロシアのウクライナ侵攻でエネルギーコストが上昇、アルミニウム半製品の生産が減速して供給が逼迫し、そのため中国からの輸入量が急増している。いっぽう、国内市場を保護するために、欧米はアンチダンピング関税措置を強化した。

元来中国は世界最大のアルミニウム生産国であったが、2020年に政府が新たに掲げたエネルギー消費効率化目標を達成するために電力消費が厳しく制限されてきたため、国内生産が縮小し始めた。

中国の一次アルミ輸入量は、2020年は106.5万㌧、2021年は158万㌧。しかし、このブームも2022年1月~2月にかけて終焉を迎え、輸入量は前年同期の24.5万㌧から5.7万㌧に激減した。その要因はLMEの相場が上海先物取引所を上回ったため、裁定取引の結果輸入から輸出に転じたことにある。

今年2月、中国は一次アルミをイタリアへ5000㌧、モンテネグロには2万㌧を輸出した。本来バルカン半島に位置するモンテネグロは中国の輸出先にはならないが、2021年末に同国唯一の製錬所KAPが電力高騰の影響で一次アルミの生産停止を余儀なくされた。

2019年~2020年にかけて、中国国内の需要が旺盛なうえ、他国からのアンチダンピング課税措置が強化されてきたため、アルミ半製品の輸出量が減少傾向を示した。しかし、この傾向も今年1月~2月を境に、生産量と輸出量は前年同期に比べてそれぞれ18%と21%増加して輸入から輸出に逆転した。この輸出増加傾向は今後も継続する可能性が出てきている。また、国際アルミニウム協会(IAI)によれば、中国のアルミ業界は電力危機から回復しつつあり、1月と2月の生産量は前年同期より180万㌧増加したという。

今年3月、中国に15ヶ所ある製錬所の総生産能力が120万㌧に達し、月間生産能力は16%アップした見込みである。

いっぽう、世界の他の地域においてほとんどの製錬所はロシア・ウクライナ戦争によるエネルギー価格の高騰で、生産量が減少。1月~2月は10%ほどの減少幅でであった。

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