アルミの需要回復を3つの側面から見る（注目）

アルミ価格は大きな調整を経て、現在、2万元台を推移している。国内のコロナ感染予防と感染対処の改善に伴い、上海での生産活動が徐々に再開しており、需要回復に市場の期待が徐々に高まっている。供給サイドの準備が整えば、需要の回復状況次第でアルミ価格はリバウンドするであろう。

I.5月の国内経済、明らかに回復：

新型コロナの影響により、3月、4月の国内経済は低迷した。4月の製造業購買マネージャー指数（PMI）は47.4％となり、前月から2.1ポイント減少。2020年3月以来の最低値を更新した。

これに対して、まず、コロナが多くの地域で蔓延したが、影響した範囲は20年の最初のころには及ばず、データの落下幅は小さい。また、ロシアとウクライナ紛争の影響もあり、不安定な国際情勢が海外のサプライチェーンからの供給を難しくしている。周辺国の高インフレ問題は当面経済に悪影響を与え続けると思われる。また、米連邦準備制度理事会（FRB）が利上げとテーパリングを開始したことにより、金融市場の不確実性はますます高まっている。

全体として、中国の経済成長は依然としてもろさがうかがわれる。5月の経済指標は大幅な回復を示すと予想される。しかし、外部環境は大きく変化しており、経済データがコロナ前の水準に戻るか、またはさらに上昇することができるのか、注目される。

2.アルミ加工企業の設備稼働率は前年同期比で減少：

上海金属市場（SMM）の統計によると、5月12日現在、国内の主要なアルミ川下加工企業の稼働率は58.6％で、前年同期の74.8％を大きく下回った。セグメント別に見ると、アルミ形材、帯、箔、合金、線などはそれぞれ前年同期を下回っており、そのうちアルミ形材、アルミ箔などの稼働率の減少幅は10ポイントを超え、主要な減少要因となった。

そして、川下の需要は前年同期を下回り、新型コロナによる物流輸送への影響も大きく、アルミ加工企業の平均稼働率は低下している。一方、海外のアルミ生産能力の回復と経済成長率の低下に伴い、中国の受注需要も減少し、輸出率の低下により、さらに稼働率の低下の足を引っ張ることになる。

新型コロナによる物流への影響は徐々に改善されているものの、川下の需要や海外輸出が短期的に回復することは難しく、アルミ加工企業全体の平均稼働率は当面前年同期の水準を下回ことが予想される。

3.不動産と運輸が最終需要を牽引する：

アルミは広い産業分野で利用されているがその分布は、建設（29％）、運輸（23％）、電力電子（17％）、包装（11％）、耐久消耗品（9％）、機械設備（8％）、その他（3％）である。このうち、最も回復に遅れを生じているのは不動産業と運輸業である。

特に運輸業では、中国汽車工業協会は5月11日、4月の自動車生産・販売実績を発表した。4月の自動車生産は前年同月比46.1%減の120.5万台、販売は47.6%減の118.1万台で前年同月比46.2％減、47.1％減だった。4月の販売台数は120万台に減少し、過去10年来の最低の水準を記録した。乗用車・商用車とも前月比・前年同月比で大幅減となった。新エネルギー車(NEV)もコロナ流行の影響を受けたものの、前年同月を上回り、堅調に推移した。また、半導体チップの不足とコロナの影響で、国内自動車市場は依然として一定の困難さに直面している。

以上のいくつ点から分析すると、現在のアルミニウム価格の川下需要は弱いが、今後景気が回復すれば、経済諸データは上海のコロナ流行前の水準に戻るか超えることができ、アルミ価格はコロナ流行前の水準（約22,500～23,000元/トン）近辺にまで回復すると予想する。

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