アルミ輸出入10年間の変化(注目)

この10年、中国アルミ産業の発展で中国製アルミの国際化が急速に進展した。特に直近の3年間は、コロナウィルスの蔓延にも拘らずアルミ製品の対外貿易は成長した。アルミ輸出がアルミ産業全体の成長を牽引する原動力として働き、アルミ産業の安定した成長、雇用、そして確固たるサプライチェーンの構築に大きく寄与したのである。

民営の調査機関である尚軽時報は、過去10年間にわたる1次アルミ製品の輸出量は2012年の497万トンから2021年の845万トンへと70%の増加を、また輸出額は186億米ドルから347億米ドルへ87%の増加を報じている。中国のWTO加盟から20年、アルミ製品(アルミホイールを含む)を1億1千万トン以上輸出し、3700億米ドルの累積輸出収入を生み出した。このうち約7500万トンの製品と2800億米ドルの輸出収入はこの直近10年の間に生み出されたものである。

1.アルミ輸出:

1.1 輸出先について:

昨年は渇水、コロナなどいくつかの困難に見舞われたが、中国の1次アルミと製品の輸出については、数量・金額ともに記録が更新された。中国は200以上の国と地域にアルミ関連の製品を輸出しており、その中で上位の米国、メキシコ、日本、韓国、ベトナム向けで、全体の3分の1を、また上位10ヵ国で輸出量の半分を占めている。

1.2 アルミの輸出先は米国が1位:

2009年以降米国が韓国を抜いて輸出相手国1位となった。過去20年で、中国は米国に累計1,087万トンのアルミ製品を輸出した。また、金額ベースでは累計輸出額は445億米ドルで、輸出総額の13%を占めた。

1.3 主要な経済圏別の輸出先:

経済圏を切り口にみてみると、北米自由貿易(NAFTA)、ASEAN、EU、東アジア(日本、韓国)が4大輸出市場である。北米(米国、カナダ、メキシコ)は過去10年間で、最大の輸出市場であった。2021年の同市場への輸出量は75万トン(19.9%)、輸出額は75億米ドル(21.6%)であった。米国が中国のアルミ製品に対して反ダンピング関税を課し輸入関税を引き上げたことにより、2019年と2020年のアルミ輸出量は減少、東南アジアが米国に代わって1位を占めた。しかし、2021年以降、高付加価値製品の輸出量が増加し、米国は輸出総額として再び1位に返り咲いた。

今年はロシアのウクライナ侵攻に端を発し、世界的なエネルギーの逼迫と原材料価格の上昇に見舞われた。これに低炭素化政策のプレッシャーが加わるが、にもかかわらず、中国は1月〜8月のアルミニ関連製品の輸出量が649万トン、輸出額で298億米ドルに達し、それぞれ前年同期比20%、40%増となったことに耳目を集めている。

2.中国のアルミニウムとアルミ製品の輸入先:

2.1 国・地域別輸入先の現状:

2021年、中国のアルミ関連製品の輸入量は428万3千トンで、前年比15%増、輸入総額は125億米ドルと前年比54%増であった。その中でアルミ合金などの輸入量は273万4千トン、アルミスクラップは103万3千トン、アルミ地金は47万8千トン、アルミ製品は3万8千トンとして2年連続で大幅に増加した。輸入量の上位5ヵ国はインド、マレーシア、韓国、ロシア、日本であった。

また、アルミ地金・合金・クラップを合わせた輸入量が全体の88%を占めたが、1次アルミとアルミ製品の割合が低く、次第に減少していく傾向にある。特に、大量の一次アルミ、アルミ合金(再生アルミ合金を含む)、アルミスクラップを輸入することで、エネルギー消費量の大きい1次アルミの生産を減少させることによって、炭素排出レベルを引き下げることができる。このことは省エネと炭素削減という方針に合致しているのである。

2.2 輸入先との貿易を振り返る:

中国の1次アルミとアルミ製品の、2002-2021年累積輸入額は1,415億米ドル、その主要な輸入先は米国、韓国、日本、香港、ドイツからであった。過去20年間の累積量を見ると、米国は175億米ドルの1位であり、中国の1次アルミとアルミ製品の輸入総額の14%を占めた。

2.3 今年1月から8月までの輸入調達先:

今年の1月から8月まで、中国のアルミ原料の輸入量は引き続き増加した。一次アルミの輸入が若干減少したものの、スクラップと合金の輸入がそれぞれ77%と31%増加した。特に、マレーシアとロシアが主要な輸入相手国となり、米国による輸入も一時ひっ迫した船舶輸送が緩和されて以降は出荷状況が回復しつつある。

3.中国のアルミ原料の輸出入について:

中国のアルミ原料輸出分野は、金額規模が大きいこともあり、貿易紛争の種になりかねない分野である。中国のアルミ原料輸出でピーク(521万トン)を迎えたのは2018年だった。翌年の2019年から減少に転じ、2020年はコロナの拡大によって更に急減した。2021年から、アルミ原料の輸出は「V」字回復し再び過去最高の543万トンに達し、2022年はさらに記録を更新して620万トンに至る見込みである。

輸出品目で、アルミ型材は中国にとって、いち早く国際市場に進出したアルミ製品でもある。しかし近年、米国による反ダンピング課税と反補助金関税のため、その輸出量はアルミ板・ストリップ・箔製品よりはるかに減少した。2010年以前までは、米国は中国にとりアルミ型材の最大輸出市場だったが、2021年に入ると米国向けからカナダ、ベトナム、メキシコ、インドネシア、トルコなどに切り替わっていった。

4.中国のアルミ製品の輸出入について

アルミ窓枠、ドア、構造部品・アルミケーブル、アルミ缶、アルミ容器、アルミ圧力容器、アルミパイプ、台所・浴室などの家庭用品などのアルミ製品は、多くの中国精密加工産業と各社の雇用にも影響を及ぼしている。

2021年、米国向けの輸出額は34億4000万ドル(+22%)で、大きな伸びを示した。米国に次ぎ日本、オーストラリア、ヨーロッパがその他の主な輸出先である。

アルミ製品の輸出は、反ダンピングと反補助金関税による影響がが大きく作用するが、海外の景気変動にも左右されやすい。今年の1~8月までのアルミ製品の輸出は、欧米の経済活動の低迷を受けて減少する見通しである。

5.中国の1次アルミとアルミ製品の輸出入について:

5.1 中国のアルミ輸出:

「尚軽時報」によると、中国の1次アルミとアルミ製品の輸出額は、2002年の22億8000万ドル、世界シェアの3.4%(9位)の実績に対し、2021年は347億1千万米ドル、世界の14.5%を占め、2位と3位の合計を上回る程の大きな成長を示した。更に、2002年から2021年の20年間、中国のアルミニウムとアルミ製品の累積輸出額は3,363億米ドルで、世界の輸出額の11.3%を占めた。そのうち過去10年間は2,415億米ドルで20年間の72%を占めている。

特に、過去10年間において、ドイツ、カナダ、アメリカ向けの輸出額は安定した伸びを示しており、マレーシア、インドネシア、UAE、バーレーン、オマーン向けの輸出量も大きく伸長した。

5.2 中国のアルミ輸入:

中国はWTOに加盟した2002年、1次アルミおよびアルミ製品の輸入額が24.4億ドルで、世界の輸入額ランキングでは第7位の順位であったが、2021年には124.9億ドルとなり、アメリカやドイツに次ぎ、世界3位に浮上した。特にこの10年間だけで、累積輸入額は789億ドルとなり、2002年から20年間の輸入総額(1,415億ドル)の56%を占めた。

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尚、お問い合わせは:songzhiguang@bjpait.com

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