新エネルギー自動車向けのアルミニウム需要は今後5年間で49%増

自動車の軽量化と新エネルギーを動力とする自動車はますますアルミニウム化に拍車がかかると期待される。自動車の構造材として、圧延材の需要は大きく伸びている。

自動車分野でのアルミニウム材の応用:

アルミニウム合金は強度もコスパも高いので、自動車軽量化に最適な材料である。アルミニウムの密度はスチールの約1/3、強度はハイテン材より約50%強く、スチール2kgが1㎏のアルミにに置き換えられ、その結果3.1ガロンの石油が節約できる。コストは、アルミニウム合金はスチールより約150%高いが、炭素繊維複合材よりは遥かに安い。マグネシウム合金の単価はアルミニウム合金に近いが、耐食性ではアルミニウム合金に劣り、自動車分野では広く利用できないため、現時点では、アルミニウム合金は最適な軽量化材料として広く利用されている。

アルミニウム合金は自動車分野で広く利用され、軽量化傾向のおかげで、使用量も次第に増加している。アルミニウム合金は車体、エンジン、ホイールなどに利用される。また、省エネ・環境保護と合金技術の進歩を背景に、自動車分野で、アルミニウム合金使用量は年々増加している。DuckerWorldwideが発表した研究データによると、ヨーロッパの自動車用アルミニウムの使用量について、50 kg/台(1990年)が現在には151 kg/台に増加し、ほぼ3倍も増えた。また、2025年までに196 kg/台に増量されると予想している。

現在、自動車用アルミニウム合金にはダイカストが主体であるが、車体のアルミニウム化の増加とともに、圧延板材の占める割合も急速に増大している。ダイカスト合金はホイール、エンジン部品、アンダーフレーム、バンパーブラケット、および空間フレームなどの構造部品に広く使用されている。それ以外の部品のアルミニウム化も進んでいる。ダイカスト合金に対して、展伸用合金は車体軽量化に有利だが、自動車用アルミニウムでのシェアはまだ少ない。DuckerWorldwideの調査によると、2016年ヨーロッパの自動車用アルミニウムで、展伸用合金のシェアは34%(圧延板材18%、押出材11%、鍛造部品5%)にすぎず、残りは全部ダイカスト合金である。部分の車体全体はアルミニウム製の高級自動車だけでは、展伸用合金のシェアはダイカスト合金よりはるかに高いという。

ガソリン車に比べて、新エネルギー自動車のアルミニウム化も展伸用合金のシェアも高い。DuckerFrontierの統計によると、一般的には、純電気自動車(「BEV」)のアルミニウム使用量はガソリン車より101 kg/台ぐらい多い。BEVはガソリン車(「ICE」)のパワートレーンの蒸気シリンダ、シリンダヘッド、およびピストンなどアルミニウム製部品がいらない。以上のパーツはアルミニウム使用量は約62kg/台で、しかもほとんど鋳造材である。その代わり、BEVの電池ハウジング、電気牽引システム、車体並びに開閉部品などのパーツにはアルミニウム需要量が163kg/台である。それに、以上の部品には鋳造材のシェアは1/3に達さず、残りはほとんどアルミニウム型材であると明らかにした。

2020年までの、新エネルギー乗用車、ハイブリッド乗用車、純電気乗用車、伝統的な乗用車や商用車はそれぞれのアルミニウム使用量は232.2 kg/台、198.1 kg/台、157.9 kg/台、138.6 kg/台、122.6 kg/台である。国際アルミニウム協会(International Aluminum Associate)が2019年に発表した「Assessment of Aluminum Usage in China’s Automobile Industry 2016-2030」にて、中国の車種ごとの自動車アルミニウム使用量を分析予測されている。車種は乗用車、商用車、特殊用車並びに二/三輪車に分けられている。乗用車にはガソリン車、純電気乗用車、およびハイブリッド乗用車に分別され、商用車には客車(ガソリン客車と新エネルギー客車)とトラックに分別され、二/三輪車には二/三輪オートバイクと二/三輪電気自転車二分別されている。発展トレンドから見ると、新エネルギー客車のアルミニウム使用量は他の車種よりずうっと高い。

自動車生産量予測:

中国の新エネルギー自動車の生産販売量は6年連続世界一となり、今年の国内新エネルギー車の販売量も引き続き上昇している。中国自動車協会のデータによると、2021年10月の新エネルギー自動車の生産販売量はそれぞれ39.7万台と38.3万台に達成し、前年同期比それぞれ133.2%と134.9%増である。1月から10月にかけての生産販売はそれぞれ256.6万台と254.2万台に達成し、前年同期比それぞれ175.3%と176.6%増であった。2021年以来、生産販売量の前年同期比の高い増加率の傾向が保たれいる。

2022年に、国内の新エネルギー乗用車の販売量が521万台に達する見込みであり、内訳はBEV 396万台、PHEV 125万台。2022年には10万元以上の新エネルギー乗用車の販売量が400万台に達し、前年同期比は95%増であり、シェアは2021年の66%から77%に上昇する見込みである。

中国では、2035年までに販売される新車は全て電気自動車になり、純電気自動車とハイブリッド車が各半分を占めると予想されている。また、「工信部」も2025年と2035年までに水素燃料電池車の保有数をそれぞれ10万台と100万台に増やす目標を明らかにしている。2025年になって、新エネルギー自動車の生産量は748万台に達し、2020-25年の年間複合成長率は40.5%に達する見込みである。

2025年までに、自動車総生産量は3151万台に達する見込みである。今後5年間で中国の自動車生産量構造が変わらない(自動車総量で乗用車の割合は約80%占める)と仮定すれば、2020年と2025年の自動車生産量はそれぞれ2523万台と3538万台になっており、年成長率は7%である。

2025年に、全世界の自動車生産量は9792万台に達し、2020-2025年の各年の成長率は2.9%に達すると予想されている。Statistaのデータによると、2020年に全世界で中型車と重型車の生産量は317万台で、世界の自動車生産総量の4%に相当し、この割合が変わらないと仮定すれば、2021年と2025年との世界全体の自動車生産量はそれぞれ8646万台と9792万台担っており、、対応的な年間成長率は3.2%であると予想されている。

2025年に、全世界の新エネルギー自動車の生産量は2000万台に達し、2020-25年の各年成長率は45%に達せると思われる。

自動車用アルミニウムの需要量の推計:

2025年の中国新エネルギー自動車用アルミニウムの需要量は176万トンに達し、2020-25年の各年成長率は50%に達すると見積もられる。中国自動車協会の統計では、2020年の中国新エネルギー自動車生産量で、純電気乗用車、ハイブリッド乗用車と新エネルギー客車の割合はそれぞれ72%、19%、9%である。未来5年間での新エネルギー自動車内部構造の比例は変わらない上に、上述の自動車生産量と一台車のアルミニウムの使用量と合わせて推計すると、2025年に、中国の新エネルギー自動車用アルミニウムの需要量は176万トンに達し、2020-2025年の年成長率は各年50%に達する見込みである。

今後5年間で、乗用車の占める割合は変わらないと仮定すれば、2025年までに中国の自動車ア用ルミニウムの総使用量は446万トンに達し、2020-2025年の年間複合成長率は8.6%に達すると予想される。

2020年と2025年に、他の国の新エネルギー車生産量はそれぞれ176万台、1252万台であり、ガソリン車の生産量はそれぞれ5102万台、5002万台である見込みである。中には、2020年に欧米日韓4つの地域の自動車生産量は中国以外の地域の生産総量で82%占め、一台車のアルミニウム使用量もいずれも中国より顕著に高い。ロシアのアルミニウム会社が発表した2019年にヨーロッパで電気自動車とガソリン車用アルミニウム使用量は321kg/台、172kg/台というデータを他の国の一台車のアルミニウムの使用量に仮定すれば、2020と2025年に他の国の新エネルギー車用アルミニウムの需要量はそれぞれ56万トンと402万トンであり、ガソリン車用アルミニウムの需要量はそれぞれ877万トンと860万トンであり、合計すれば、2020と2025年に、他の国の自動車用アルミニウムの需要量はそれぞれ934万トンと1262万トンであり、各年の成長率は6%であると推計する。

2025年までに、全世界の自動車用アルミニウム需要量は1885万トンに達し、2020-25年の年成長率は8.6%に達し、2020年に基づいて、2025年に全世界の自動車市場によってアルミニウム材の需要増量が635万トンぐらいに達せる見込みである。

電気自動車はますます大きく発展すると予想している。アルミニウム業界もこれによって成長していくと思われている。電気自動車産業は既成アルミニウムとアルミニウム合金への依存度が高くなっていく産業であり、自動車市場でのシェア率が大きくなるにつれて、今後5年間の新エネルギー自動車用アルミニウムの需要成長率は49%に達するであろう。

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