新型アルミベース複合負極材 電池の耐寒性と耐熱性の向上(注目)

中国科学院深セン先端技術研究所の取材内容を以下に報告する。

同研究所の唐永冰研究員をはじめとする研究チームが開発した新型アルミベースの複合負極材料で、高温気候と極寒気候に耐えられるリチウム電池で、迅速に充電できるようになり、また、コストが削減されるという。同材料はすでに大規模な量産化がされている。

従来リチウムイオン電池はその主要な材料から受ける制約から、0℃以下の低温では充電できず、50℃以上の高温では安全が保たれないという大きな問題があった。中国の国土は広大で、地域や季節によっても気温に大きな較差が生じる。北部の冬の気温はマイナス40℃以下になることがあり、また南部の夏の地表温度は50℃以上になることもある。冬は電気自動車が始動できなかったり、スマートフォンが自動的にシャットダウンしたりすることがある。夏は電気自動車の自然発火などの事態を招くことがある。

現在、正極材に関する技術の発展余地は少ないが、負極材には未開拓の余地がまだ残っている。そこで、同チームは長年にわたって新しいアルミニウムベースの複合負極材料を開発してきた。同材料は市販のリチウムイオン電池正極材料とマッチングすることで、さまざまな応用が可能である。例えば新しいマンガン酸リチウム電池、リン酸鉄リチウム電池、三元系電池向けに製品を開発した。同材料を用いた新型リチウムイオン電池は、-70℃から80℃までの環境で使用できるようになり、低温性能と高温性能を同時に保つことができる。

また、安全性について、従来のリチウム電池は連続使用することにより内部にリチウムデンドライトが発生し、充電容量を減ずるだけでなく、電池短路などトラブルの発生の余地があった。一方新型アルミ複合負極材は、低温や過充電の条件下でリチウムデンドライトの発生を効果的に緩和することができ、電池の安全性を向上させることができたのである。

航続性能については、アルミ複合負極材の高い容量により、エネルギー密度が従来のリチウムイオン電池により13~25%高く、長時間の航続が可能だ。また、優れた導電性により、20分でフル充電が可能になる。

コスト面でも、アルミ複合負極材の性能上の優位性に基づき、開発した高性能電解液と組み合わせることで、高価なナノ正極材料に依存しない低温電池製品を実現することが可能となった。現在の低温電池用正極はナノ材料が必要で、コストが高い。しかし開発したアルミ複合正極材は、ナノ材料である必要はなく、材料費やコストを10~30%削減することが可能だ。

関連製品は、太陽光発電エネルギー貯蔵、家庭用エネルギー貯蔵、通信基地局エネルギー貯蔵、鉄道輸送、国防建設、航空宇宙、極地科学研究などの分野に適用でき、特に高寒地域と亜熱帯地域に適しており、電池の適用範囲を大幅に拡大することができると大きな期待が寄せられている。

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