リチウムイオン電池用箔増産へ複数社（注目）

パワーバッテリーの出荷量が増加している。またナトリウムイオン電池の製品化も加速している。今後もバッテリー用アルミ箔市場はさらなる拡大が見込まれる昨今である。

いっぽう、新エネルギー車市場が活況を呈し、パワーバッテリーの生産規模が大幅に拡大されていることがアルミ箔の強い需要を生み出す素地で、メーカーの業績を大きく伸ばす原動力となっている。

「高工産業研究有限会社(「GGII」)」によると、2021年中国におけるアルミ箔出荷量は前年比で2倍以上増加し、13万㌧を上回った。

2022年上半期、パワーバッテリーの出荷量は200GWhを超え、前年比1.5倍の増加であった。パワーバッテリー1GWh当たりのアルミ箔使用量を450㌧とした場合、その出荷量は上半期だけで9万㌧を超え、通年では20万㌧以上となる見込みである。

「GGII」の予測では2025年に、世界のパワーバッテリーの出荷量は1550GWhを超え、エナジーバッテリーの出荷量は416GWhに達する。それに軽自動車、低速電動自動車、大型トラック、船舶等向けの需要を加えれば、2025年の世界需要量はリチウム電池は2TWhを超え、アルミ箔の需要は100万～140万㌧に達すると考えられている。

一方、今年に入り、ナトリウムイオン電池とその正極および電解液などの材料開発と商品化に、各社メーカーが大きな成果を収めたと発表が相次いでいる。

ナトリウムイオン電池は、両極ともにアルミ箔を集電体として使用し、リチウムイオン電池に比べて箔の使用量が倍増するため、本格的な製品化になれば箔の需要が一層高まることになる。

このような状況下で、パワーバッテリーメーカーの中にはアルミ箔の安定供給の確保に乗り出しているが、大手にはいかににこの確証が得られるかが喫緊の課題である。

2021年12月、「寧徳時代（CATL）」と「鼎勝新材」が長期契約を締結し、2021年12月1日から2025年12月31日までの期間、前者が「鼎勝新材」とその子会社の「五星アルミ」からパワーバッテリー用アルミ箔51.2万㌧を調達することに合意した。

続いて本年6月、「蜂巣エネルギー」が「鼎勝新材」と協力枠組取決めを締結。2022年～2025年の期間「五星アルミ」にリチウムイオン電池用のアルミ箔とカーボンコートアルミ箔合わせて8.08万トンを発注することに合意成立。

8月には「雲南アルミ」は、完全子会社の「雲南浩鑫」が「寧徳時代（CATL）」から電池用アルミ箔を受注したと発表している。

また、「寧徳時代（CATL）」「国軒高科」「億緯鋰能」「BYD」など4つのバッテリーメーカーが「華北アルミ」の子会社である「華北アルミ新材料」に資本投資し、それぞれ10％、10％、7％、2.9％の株を取得した。

電池用箔のニーズが確実に増大していく中、箔のシェア確保をめぐる競争も激化してきている。「鼎勝新材」「万順新材」「永傑新材」「夏順アルミ」「華北アルミ」「天山アルミ」「南山アルミ」「常熟アルミ」「神火」「華峰アルミ」「明泰アルミ」「雲南アルミ」「東陽光」「龍鼎アルミ」などがこぞって電池用箔の生産能力拡大に向けて積極的に取り組みを進めている。

今後、電池用箔の生産量とパワーバッテリーの出荷量が増加するとともに、ナトリウムイオン電池の製品化が進むにつれ、箔市場が一層白熱していくことが予想される。

電池用箔は引張強さ、伸び率、電気伝統率、表面粗さ、張力係数などの特性に関して高い製造技術を要する一方、製品の世代交代が速く、技術者が不足しているなどのことから、業界への参入障壁が高く、先行者優位の市場にある。

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