アルミ箔、生産量・単価共に上昇 ナトリウム電池に伸びしろ(注目)

先般、「鼎勝新材」の会長秘書である陳魏新氏は上海証券新聞の取材で、8月以降、電池用アルミ箔の注文量が1万3千トンに達したことを明らかにした。

さて、厚さが0.2mm以下のアルミ圧延材を箔と呼ぶ。電池用アルミ箔は、リチウム電池の正極集電体用として利用され、集電体の電極およびリチウム電池正極材料の担体(キャリア)である。近年、アルミ箔の用途として電池用の需要が伸長著しい。「万順新材」の副総経理兼会長秘書である黄薇氏は、昨年下半期以降、電池用箔の市場需要が急増し、その結果需給はタイトに転じたと語った。

陳魏新氏は、電池用アルミ箔の需給は、第1四半期の均衡から供給不足に転じたと述べた。多数の業界関係機関は電池用アルミ箔の供給タイトによる加工費の高騰が続いていくだろうと指摘している。今後、各大手企業の生産能力および出荷量の一層の伸びとともに、業界の収益性も向上していくと見込まれる。ナトリウムイオン電池は電池用アルミ箔に新たな需要の伸びをもたらすだろう。今後、世界の電池用アルミ箔の需要は2025年には74万トンに上り、年間成長率は37%に達すると予想されている。

1.電池用アルミ箔の加工費が高騰:

業界関係者によると、電池用アルミ箔の加工費水準は昨年後半から累計で2,000元/トンから4,000元/トン上昇したという。昨年の電池用アルミ箔の平均的な加工費は約15,000元/トンだった。昨年後半から、電池用アルミ箔の需要が急速に拡大するとともに、第4四半期から、多くの大手企業は平均的な加工費を16,000元/トン超までに引き上げた。今年第1四半期、電池用アルミ箔の需給は均衡状態になったため、一部の企業の加工費も17,000元/トンまで引き上げた。

上海非鉄金属ネットワークの統計によると、7月末時点で、リチウム電池用アルミ箔の加工費は15μmレベルのが18000元/トン、12μmレベルのが20000元/トンであった。上海非鉄金属ネットのアルミ箔高級アナリストである曲健汇は「将来の電池用アルミ箔の加工費も上昇傾向にある」と述べた。現状では電池アルミ箔の歩留まりを短期間で改善することはむつかしく、不良品コストの引き下げが大きなテーマである。また、川下の需要増大が電池用アルミ箔加工費の上昇の牽引力となった。 

業界関係者は電池用アルミ箔の需要高まりの根本的要因は、需給のミスマッチだと指摘している。エコカーの生産・販売や動力電池の搭載台数は急増している一方、電池用アルミ箔製品には一定の商品化サイクルと技術的条件があるが、生産ラインの構築スピードも目標生産能力を実現するスピードも遅く、また新規参入の企業にとっては、研究開発や認証、歩留まり改善など山積されている。

2.上場企業が電池用アルミ箔の生産拡大に専心:

加工費の引き上げと生産量の拡大により、今年上半期、電池用アルミ箔の上場企業の収益性は大幅に改善している。

「鼎勝新材」の予測では、今年上半期の純利益は5.1億元から6.1億元が予想され、前年同期比235.40%~301.16%増が見込まれる。同社の経営方針を「動力電池用アルミ箔の川下需要が旺盛の中、従来の箔製品の生産ラインを電池用アルミ箔生産ラインに改造し、生産量と販売量を大幅に引き上げ、市場のシェア・アップを図る」としている。また、従来からある包装用アルミ箔の需要も依然として好調だった。

「万順新材」は、今年上半期に、純利益が1.15億元から1.25億元と増額し、前年同期比532%から586%のアップを予測している。同社は「アルミ箔の川下需要の高まりを追い風に、また孫会社である「安徽中基」一期の年産4万トンの高精度電子アルミ箔生産能力稼働開始により、同社のアルミ加工事業の収益性が大幅に向上した」と説明している。

又、「東陽光」や「明泰アルミ」など上場企業の上半期売上はいずれも伸長した。

3.ナトリウムイオン電池、アルミ箔の新たな伸びしろ:

ナトリウムイオン電池の量産化が近づいている。当業関係者はナトリウムイオン電池の本格的な商業化により、電池用アルミ箔の需要はさらに拡大する見ている。

リチウムイオン電池と異なり、ナトリウムはアルミニウムと合金化反応を起こしにくいという性質を利用。銅箔の代替として、アルミ箔で正極と負極の集電体をつくり込むことができ、生産コストを70%近く削減できる。これは、ナトリウムイオン電池で、アルミ箔に新たな需要の拡大をもたらすことが期待される。

浙商証券は、電用アルミ箔の供給タイト状況は少なくとも2023年まで続けると予測してる。2022年~2023年の電池用アルミ箔の需給状態は限界近くバランスが保てると見込み。電池用アルミ箔の世界生産量面では、2022年に32万トン、2023年に48.3万トンにのぼせるが、需要面では、2022年に33.1万トン、2023年に48.8万トンに達せる。したがって、2022年には1.15万トン、2023年には0.48万トンの需要ギャップが生まれる。2024年から、電池用アルミ箔の供給能力が上がるにつれて、足元の供給タイト状況が緩和のようになれると見込み。

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