大冶市 工業用アルミ型材分野で成長
大治市は近くに銅鉱山をもち、千年の昔から銅製品の産地として知られている。この大治市は近年、ボーキサイト鉱山に恵まれてはいないが型材製造会社を25社抱える、中国有数のアルミ加工地域に成長した。中国非鉄金属加工協会からは「華中地区アルミ型材生産拠点」の称号を与えられるなど全国トップ5のアルミの一大産地に数えられている。
同市のアルミ型材産業は建築用アルミ型材から始まり、オールアルミ家具に主力製品を転換した後、新エネ車・太陽光発電モジュール用アルミ型材・スマートフォンケースなどへと製品群を広げ、地元の主要産業群として発展を遂げた。
黄石市のアルミ協会によると、アルミ型材企業の年間生産能力は80万㌧以上、生産額は150億元、雇用者数は3万人近く、100社以上からなるピラミッド企業群を創出している。
工業用アルミ型材分野に参入:
大冶湖ハイテク区に位置する「宏泰鋁業」の敷地内には、全国各地のナンバープレートを付けたトラックが連日出荷待ちの列をなしていた。黄石市アルミ協会の会長を務めている「宏泰鋁業」代表取締役の黄長林氏によると、かつて大冶市のアルミ型材産業は建材用ドア・ウィンドウと建築装飾用の型材が製品の80%以上を占めていた。近年、アルミ型材企業が新エネ車等の分野に進出している。型材加工の収益性は、工業用は建築用の3倍を超える。
黄氏は大冶市アルミ型材産業の先駆者である。武漢で商業に携わっていたが、1990年代に帰郷し、「宏泰鋁業」を立てあげた。当時はまさに住宅不動産の商品化に伴い、建築用アルミ型材市場の急成長期であった。大冶市はそもそもアルミの産地ではないものの、千年の歴史を持つ銅の都として熟練した冶金技術の蓄積があり、時期に即したビジネスチャンスを捉えることができた。
やがて建築用の型材需要が減少に転じ、それに代わる新たな需要が生まれた。「全国のアルミ型材の昨年の生産量はおおよそ2,200万㌧で、従来に比べ500万㌧も減少した。一方、太陽光発電モジュール用フレームと新エネ車ともに代表される工業用アルミ型材は略700万㌧増加した」と、東楚アルミ加工研究院院長の王再国氏が語った。
近年、各種車両の材料には「スチールよりアルミ」、建築材には「木材よりアルミ」、包装材には「プラスチックよりアルミ」といった傾向が顕著になり、アルミの用途が拡大しつづけている。大冶市にあってもアルミに関わる新製品・新技術・新工程が次々と生み出してきた。「1台の新エネ車のうち、アルミ材の使用は略略3分の1を占めている。もちろん、新エネ車軽量化市場とモジュール用フレーム市場に参入すべきだ。」黄長林氏によれば、「宏泰鋁業」の製品のうち、工業用アルミ材が占める割合は2019年の2.1%から昨年の13%にまで上昇した。子会社の「福星鋁材」の場合、その割合は45%に達している。
最終消費財市場への参入:
「実美科学技術有限会社」(「実美科学」)の陳国勤社長は、オールアルミ製の家具はホルムアルデヒド(HCHO)を発散しない上、可塑性と耐食性がともに強く、また再生利用することができるため、今後市場規模が拡大していく見込みだと語った。
「実美科学」はこのオールアルミ製家具市場に焦点を絞り自社ブランドを立ち上げ、省内外に専門店を展開してきた。「昨年は20店舗出店したが、今年は更に100店舗増やすつもりだ。」陳国勤社長は、オールアルミ製家具の場合、付加価値を30%も向上させることができる。更に専門店300店舗の収益は「実美科学」1社分の収益に相当すると語った。
事業転換に成功した「実美科学」はアルミ合金製部材に目を転じ、自転車・家電メーカーの「華力科技」に10億元を投資した。陳国勤社長によれば昨年の生産額は13億元だった。今年は更に2ラインを追加投資する予定で、生産高は18億元にのぼる見込みである。すでに年末まで受注が満杯で、現在32基の生産ラインがフル稼働している。
「実美科学」が製造するアルミ合金材自転車ホイールは江蘇省の「泰茂集団」に納品するほか、国内外で広く販売されている。また、「小米科技(Xiaomi)」が投資した「全康」社と提携して、電動キックボードのデッキを製造している。「この種の最終消費財は工業用アルミ型材の精度と強度に厳しい条件が設けられているが、付加価値も相当高い。」
2021年、「実美科学」は「専門性・精緻化・特色化・斬新性」の企業に選出された。すでに特許権8件と実用新案権30件以上を保持し、出願中の特許を20件以上所有している。「今年は1,000万元をかけて逆押出機を設置して、シームレスアルミチューブを製造する予定だ。この製品の加工高は8,000元/㌧で、従来のアルミ材の4倍」と、陳国勤社長が語った。
技術革新と方向転換:
今や大きな成長を遂げた大冶のアルミ型材加工産業も、地元に受け入れられない時期があった。
大冶のアルミ加工業が使用する原料は、一部は他の地域から購入したインゴットで、一部はリサイクルされたスクラップである。溶解と鋳造の過程で、廃ガス・廃スラグ・廃液などが排出される。各加工過程において、接着接合にはクロミウム、着色にはニッケル、反射・腐食防止にはフッ素がそれぞれ使用されていたが、これらの重金属は適切に後処理されなければ環境汚染を引き起こす原因となるのである。
大冶市政府は環境汚染対策として、アルミ型材業界に対して厳格な排出基準を設けている。
基準に沿うべく、各メーカーは大きな環境投資を図り溶解炉と鋳造炉の輸入し、廃水・廃ガス・粉塵・騒音などの処理設備を更新した。その結果、かつて悪臭・騒音・粉塵などに悩まされていた環境を根底から整えた。
環境汚染対策は、成長のための第一歩であった。アルミ型材産業を発展させるには、技術の進歩に基づいて加工工程を改善していく必要がある。「現在、接着接合には不動態化がクロム酸を、着色にはスズがニッケルとスズの混合浴を、フロスティング処理がフッ素にそれぞれ取って代わっている。」王再国氏の話によると、現在アルミ加工には基本的に重金属を使用してないと説明している。
2019年、黄石市アルミ協会が設立され、黄長林氏は会長に就任した。同協会は産業の発展を促進するために、同業者の不正競争を防止して、差別化戦略を支援する定款を策定した。同時に、「宏泰鋁業」の協力の下で「東楚アルミ型材産業研究院」が設立され、業界に技術支援を提供するのみならず、海外から測定機器を導入して、市内のアルミ型材企業をサポートしている。
相次ぐ朗報:
2021年1月、国は廃金属のリサイクルを促進するために、アルミ加工工程で発生する粉塵とスクラップの分類を危険固形廃棄物から一般固形廃棄物へと変更した。これによりスクラップの利用に弾みがつくであろう。すでに先進国では、自動車のボディシートや缶などリサイクル化が進んでいる。
大冶市情報化局の彭洪湖副局長は、デジタル・スマート技術革新によって、アルミ型材産業が精密化・柔軟化・統合化の方向に向かって発展しつづけている。大冶市もそれらの方向性を合わせて、全国的な製造拠点を構築していくと語った。
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