「東陽光」 電池用アルミ箔とPVDFに注力(注目)

電極箔大手の「東陽光」は新エネルギー向け材料に注力していく。

東陽光の事業三本柱は電子用新素材、合金材料、化学製品である。まず電子新素材を利用した主要製品はアルミ電解コンデンサで、電極箔(エッチング箔とケミカル箔)、及び電力インバータ、家電、エレクトロニクス関連製品、自動車用電気関連製品、風力・太陽光発電、通信機器等面に用いられる。合金材料の主な製品は、電子箔、空調用箔、ろう材用箔、電池用アルミ箔などに代表される。

電池用箔の需要急増:

電池用アルミ箔は、主にリチウムイオン電池の正極集電体の部品として利用されている。主流の電池メーカーの生産した電池の搭載量と電池箔の消費量及び重要なリチウムイオン電池投資プロジェクト関連データに照らしてみると、1ギガワットアワー(GWh)あたりのリチウムイオン電池には電池用アルミ箔の重量が約450〜700トン必要であることが判明した。電池箔の消費量についてはリン酸鉄リチウムイオン電池のほうが三元系リチウムイオン電池より多い。その理由は、リン酸鉄リチウム電池のエネルギー密度の低さが挙げられる。

今後、高エネルギー密度のリチウムイオン電池に支給されていた補助金が減額されていくが、これによりリン酸鉄リチウムイオン電池の市場シェアは高くなるり電池用アルミ箔の需要も増加していくと予想される。

一方、アルミ箔の加工プロセスが改良され、薄肉化が進み、1GWhあたりのリチウム電池の箔消費量は減少していく。もし2020年から、1GWhあたりのリチウム電池用アルミ箔の消費量を現状500トンが、年2%の割合で減少し続けると仮定すると、2023年の世界の消費量は31.1万トンと予想される。この場合の年平均成長率(CAGR)は34.8%である。

また、新エネルギー搭載の自動車産業成長を追い風に、今後もパワーバッテリーは成長し続け電池用アルミ箔消費の伸びが期待される。全世界のパワーバッテリーの出荷量は2023年までに521GWhに達し、電池用アルミ箔需要は24万トンにのぼる。コンシューマーバッテリーと蓄電池の消費量も含めると、世界の電池用アルミ箔需要は、およそ31.1万トンとなり、CAGRは34.8%と予想されている。

電池用アルミ箔の生産能力世界No.1へ:

中国のアルミ箔加工業者は、目下生産を拡大しているが、2025年までに、電池箔の生産能力が40.4万トンにのぼると見込まれている。足元で進行している電池箔用プロジェクトは次の通りである:

①「東陽光」、10万トンの電池箔(2フェーズの段階を踏む)

②「万順新材料」、7.2万トン。高精度電子アルミ箔プロジェクト(フェイズ2)

③「万順新材料」、10万トンのパワー電池・蓄電池用アルミ箔プロジェクト

④「江蘇常鋁」、3万トンのパワー電池用アルミ箔プロジェクト。

付記すると上記のプロジェクトが順次稼働していくことで、2023/2025年までに、中国の電池アルミ箔の生産能力は25.8万トン/42.9万トンに達すると予測されている。

さて、「東陽光」は既存の電池箔生産能力を11万トンに能力アップすることで、電池用アルミ箔の世界トップクラスの企業に成長した。2021年末に、UACJと提携する1万トンの電池箔プロジェクトが正式に稼働開始。2022年1月に年産10万トンの低炭素ハイエンド電池箔プロジェクト計画は取締役会で全会一致で承認され、2つのフェーズに分けて計画を推進する予定である。1stフェイズのプロジェクトの生産能力は5万トン、2023年に稼動開始を予定している。2ndフェイズの生産能力も同じく5万トンで、2025年に稼動開始の予定。計画が実現すれば、2025年に、同社の電池用アルミ箔の生産能力は11万トンに達し、世界の電池用アルミ箔のトップ企業に名を連ねることができる。

「東陽光」は市場の成長と国家政策の後押しで、世界のトップメーカーへ:

電極箔はアルミ電解コンデンサの中核部品であり、主に電極シートとして利用されている。製品仕様にもよるが、コンデンサーの総コストに電極箔は約30%~60%を占める。一般的に、比容量と作動電圧が高いほど電極箔のコストは高くなる。また、低電圧電極箔に比べて、中高電圧電極箔はエネルギー消費量が遥かに高い。完全な電極箔産業チェーンは「高純度アルミニウム-電気光学箔-エッチング箔-ケミカル箔-アルミ電解コンデンサ」などからなっている。

「東陽光」は完全的な電極箔産業チェーンを配している。産能について、低電圧電極箔は1200万㎡、エッチング箔は5400万㎡あり、中高電圧ケミカル箔は4500万㎡、産能で世界一に駆け上がった。今後もウランチャブ市の中高電圧電極箔の拡大プロジェクトで、低電圧電極箔の生産能力は2000万㎡へ、中高電圧エッチング箔及び電極箔の生産能力は7000万㎡に達すると見込まれている。

PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、当業社は生産能力を急増:

フッ素樹脂PVDFは主にコーティング、射出成型、リチウムイオン電池、水処理用ろ過フィルム、ソーラーパネルフィルムなどに需要が集中している。BAIINFOのデータによると、2020年で、以上の各分野のPVDF需要量はそれぞれ1.6万トン、0.9万トン、0.8万トン、0.6万トン、0.4万トンで、PVDF全体のおよそ37%、21%、19%、13%、10%を占めている。

「東陽光」は、2022年までに、中国国内PVDFの新増生産能力は約10.4万トンに登ると予想している。現在、中国のPVDF生産能力は6.8万トン。2021年11月現在の中国リチウムイオン電池用PVDFの平均価格は40.5万元/トンで、2021年初に比べて、268.2%上昇した。このほど、中国の各大手企業はPVDFの増産計画を次々と打ち出しており、2021-2023年までに中国国内のPVDFへの需要量はそれぞれ5.1万トン、6.5万トン、8.2万トンとなる一方、供給能力はそれぞれ5.1万トン、5.7万トン、8.7万トンとなれると予測されている。2022年末以降、中国国内PVDFの新増産能が続々と稼動を開始していくことで、早ければ2022年の末から2023年の初めにかけて、需給は緩和できると見込んでいる。

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