再生アルミ業界に発展のチャンス(注目)

自動車用アルミダイカストは重量の64%がエンジンブロック、シリンダーヘッド、各種ハウジング、16%がアルミ合金ホイール、13%が冷却装置、5%がシャシーとサスペンションシステム、1%がボディカバーに向けられている。

ダイカスト製品の大型化・薄肉化に伴い、熱処理による変形の懸念からこの熱処理を必要とせず、鋳造したままの状態で必要な機械的特性が得られる非熱処理の開発が求められている。

非熱処理の合金材料は、鋳造のまま使用できるため、上記のような問題を避けられるとともに、部品の製造コストを削減できる。昨今、熱処理を施さないダイカスト用アルミ合金材料の開発と応用が研究テーマとして耳目を引いている。

1.ダイカスト原料は再生アルミ:

アルミダイカストの主な原料はアルミ及びその他合金である。アルミ合金ダイカストは不純物の許容範囲が大きい。特にアルミ合金の機械特性に影響しやすい鉄分の許容範囲がひろい。ダイカスト成形に高圧充填と急速凝固方法を採用するが、ダイカスト用アルミ合金の原料はほとんどが再生アルミである。

アルミダイカスト合金には、製品の種類によってマグネシウム、シリコン、マンガンなどの合金元素を一定量添加する必要がある。アルミスクラップは上述の合金元素を既に含んでいるため、添加のコストを省くことができる。再生アルミの生産工程では、調質を行い、国家標準に適合するダイカストアルミ合金を生産できる。2021年以降、マグネシウムと工業用シリコンの価格が大幅に上昇し、再生アルミを利用することの経済性がさらに浮き彫りされている。

再生アルミメーカーはアルミダイカスト企業の川上に位置する。「立中合金」、「順博アルミ合金」、「怡球金属資源」、「上海永茂泰」などが主要再生アルミメーカーである。

2.既存の非熱処理素材:

アルコア社とラインフェルデン社は長年にわたり非熱処理のアルミ素材を研究しており、成熟したアルミ合金種類を有している。テスラ社も近年、構造部品生産用に一連の非熱処理合金種類を申請している。また、中国企業は大型薄肉ダイカスト用の非熱処理の材料開発に積極的である。

非熱処理のアルミニウム合金には数多くの種類がある。非熱処理のアルミニウム合金は、Al-Si系とAl-Mg系の2つに大別されるが、この枠組みの中で、合金組成やプロセスルートによって個々の種類が調整されている。現在、成熟した非熱処理の素材は非熱処理の合金種類の体系を例えばアルコア社、ラインフェルデン社などの様に独自に持つことがある。

3.非加熱素材は再生アルミを使用:

再生アルミを利用することで炭素の排出を一次アルミよりはるかに低く抑えることができる。アルミ産業で排出量が多いのは、主に電解工程である。再生アルミはアルミスクラップを溶融して、不足している合金元素を添加するため、炭素排出量は一次アルミより少ない。欧州アルミ協会のデータによると、1トンの再生アルミを生産するに必要のエネルギーは一次アルミの5%で、二酸化炭素の排出量は僅か0.5トンである。国内のデータによると、1トンの再生アルミの生産は1トンの一次アルミの生産より3.4トンの標準石炭を節約でき、14立方メートルの水を節約、20トンの固体廃棄物の排出を削減できる。

現在、非熱処理アルミ合金には一次アルミが使用されている。大型薄肉一体化成形ダイカストの非熱処理アルミ合金材料はまだ大規模普及となる初期段階にあるため、再生アルミの利用は手探りの階段にある。そのため、非熱処理のアルミ合金は合金の成分のコントロールが厳しくて、電解アルミを使って正確にそれぞれの合金を添加して製造するのが一般的である。一体化成形ダイカスト製品に代替された既存の小型ダイカスト製品は主に再生アルミで生産する。そのため、一体化成形ダイカスト製品の炭素排出量は小型ダイカスト製品をはるかに上回る。非熱処理のアルミ合金原料は、最終的には再生アルミを使用することになるであろう。

4.再生アルミのリーディングカンパニーは各地地方に位置するという優位性がある:

大型一体化成形ダイカスト製品を長距離輸送することは運賃コスト面から優位性はない。むしろ、スクラップの集積地周辺に工場を設置することが多い。中小の再生アルミ企業は生産拠点を一か所しか所有できず多くクライアントを一社でカバーすることができない。再生アルミのリーディングカンパニーは地方ごとに工場を配置できるという優位性があり、より多くのクライアントをカバーし、運賃を削減することができる。溶融メタルを直接クライアントに供給することで再溶解工程を省くができ、クライアント側も設備と人件費の削減に有利である。アルミ合金の再溶解による材料とエネルギーのロスを避けられ、効果的にアルミ合金の再溶解による品質の悪化を防ぎ、鋳造工程に安全な原料を提供できる。また、クライアント側のアルミ合金インゴットの在庫削減とキャシュフローにも有利である。

5.再生アルミ業界での競争環境の改善:

2021年の国内再生アルミの生産量は830万トンで、前年同期比12.2%増。生産高は約1800億元、前年同期比38.5%増。2021年の年末の時点で、国内再生アルミの生産能力は1579.5万トンであった。全国で再生アルミ企業は1000社あまり。各地に分散されており、大半は小規模企業である。

非鉄金属協会の再生金属分化会のデータによると、今、業界最大企業の生産量は38万トン。年産が10万トンに達する企業は30社のみ。再生アルミのリーディングカンパニーは非熱処理の材料の開発・生産・販売に競争力性ある。将来、業界トップ企業がリーダーシップを発揮し非熱処理材料の開発・生産・販売を盛り上げ、製品の粗利益を高くし競争環境を改善することに期待が寄せられる。

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